No.1058 2012/09/26(水)

 今がチャンス


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 木更津市富来田の長井地区に、貝殻坂と呼ばれる小道がある。「宇麻来多山の学校」と呼ばれるハイキングコースの一部にもなっているこの小道には、文字通り貝殻の化石が散らばっている。この遊歩道沿いには約30万年前の下総層群藪層の貝化石層が露出することから、平成17年度に県環境部の依頼で、中央博物館が中心になって調査を行った。じつはこのあたりは「地蔵堂-藪化石帯」の名で古くから知られる、地質学・古生物学上とても重要な地域なのである。調査の際には、小型の重機を使って遊歩道を整備したので、直後は地層がよく見られたが、この手の地層観察場所の常で、何らかのメンテナンスをしなければ、すぐにヤブに被われていく。現在ではかなり植生がついて、地層の露出も悪くなってしまった。
 わずかに露出している貝化石層の上に、黒い火山灰層が見られた。Yb4火山灰層と呼ばれる火山灰鍵層(離れた場所の地層の対比に使う、鍵になる層)である。この露頭もいつまで観察できるかわからないが、今ならまだこの火山灰層が見られる。
 (加藤久佳)

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