No.1066 2012/10/24(水)
ヒオウギ
清澄山系の伐採地にヒオウギが群生していた。この時期は実をつけている。直径5ミリほどの球形の果実が茎の先にたくさん実っていって、茎は重たそうに曲がっている。この実のことを別名「ぬばたま」といい、「黒」や「夜闇」の枕詞として知られている。 ぬばたまの夜の更けゆけば久木生ふる 清き川原に千鳥しば鳴く 【万葉集・山部赤人】 「ぬばたま」の語源には諸説あるようで、はっきりとはわからない。しかし、この実の色と「闇」を結びつける感性はすばらしい。また、ヒオウギは京都の祇園祭に欠かせない花なのだそうだ。ヒオウギは草地の植物である。古来、奈良や京の都の周辺にはヒオウギの生える草地が多かったのだろうか。 (尾崎煙雄)
ヒオウギ Belamcanda chinensis(アヤメ科)