No.1164 2013/07/03(水)

 ネブトクワガタ


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 清澄山系にて。ツガの木の樹皮が裂けて樹液がにじみ出ている(写真1)。このような針葉樹の樹液を好む甲虫がいる。探してみたら案の定、ネブトクワガタの雌が見つかった(写真2)。体長2センチ弱の小型のクワガタムシだ。さらに探索すると、樹皮の下に雄のネブトクワガタが隠れていた(写真3)。千葉県ではネブトクワガタは珍しい昆虫なのだが、清澄山系ではよく見つかる。この虫が好むモミやツガの木が多いからだと考えられるが、もうひとつ理由があるような気がする。それは、清澄山系に多いニホンジカが角研ぎのためにこれらの針葉樹の樹皮を傷つけるせいなのではないかという仮説。写真1の樹皮の傷もシカの角研ぎによるもののように思われる。針葉樹とシカとネブトクワガタの間の相互関係があるとしたらおもしろい。
 (尾崎煙雄)

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写真1
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写真2
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写真3
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 ツガ Tsuga sieboldii(マツ科)

 ネブトクワガタ Aegus laenvicollis subnitidus(クワガタムシ科)

 モミ Abies firma(マツ科)

 ニホンジカ Cervus nippon(シカ科)

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