No.1174 2013/08/17(土)

 ヒカリモ


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 この夏は雨が少なく、房総丘陵の渓流の水が少ない。写真1の中央の岩は通常はその底部を川の水に洗われているのだが、今年はすっかり水の外に出てしまった。この岩の下の湿った泥の表面に黄色い粉のようなものがみられた(写真2)。「粉」の色は見る角度によって変わり、ストロボを焚いて撮影すると金色の輝きが現れた(写真3)。どうやらヒカリモのようだ。
 国指定天然記念物である富津市竹岡のヒカリモが有名だが、その生態は謎が多く、分類もまだ検討を要するようである。ヒカリモの生活史には、単細胞で泳ぎ回る「遊泳相」と、水面に浮く「浮遊相」という2つの時期があり、浮遊相では、水をはじく柄の上に1〜多数の細胞が乗っているのだそうだ。光を反射して輝くのはこの浮遊相のとき。
 この場所は、年に何度も訪れるフィールドの一つだが、ヒカリモを見たのは初めてだ。いつもなら水没している場所で見つかったこのヒカリモは、なにか特別な条件がそろって発生したのだろうか。それとも、普段からここに生息しているが見つからないだけなのだろうか。
 (尾崎煙雄)

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写真1
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写真2
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写真3
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 ヒカリモ Ochromonas vischeri(黄金色藻綱オクロモナス目オクロモナス科)

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