No.1175 2013/08/17(土)

 ジグモ


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 サクラの木の根元にジグモの巣(写真1)。地面から10センチほどの高さまで植物のつるに沿うようにしてつながる白く細長い袋状のものがそれ。「ジグモ釣り」をして遊んだ思い出をお持ちの方もいるだろう。この巣は地中まで続いていて、中にはジグモが隠れている(写真2)。巣の上を虫などが歩くと、袋越しにかみついて捕食する。
 この巣にいたジグモの雌は体長15ミリほど(写真3)。4対の脚とは別に、顔の正面に1対の太く黒光りする「上顎」という付属肢がある。上顎の下面には長く鋭いサーベルのような牙を持つ(写真4)。これで獲物を捕らえるのだ。手に載せて撮影していると「咬まれたら痛そうだな」とどきどきする。しかし咬まれることはない。たぶん咬むというよりは袋越しに餌を押さえ込むのに使うのだと思われる。歩行のための脚と比べて何倍も太い上顎には多くの筋肉が詰まっているはずで、よほど力が強いのだろう。
 この巣の中にはもう1匹ジグモが入っていた。雄である(写真5)。こちらも体長15ミリほど。雌に比べて腹部が小さく、脚がとても長い。基本的に巣から出ずに生活する雌と違い、繁殖のために雌を探し歩くにはこのような長い脚が必要なのだろう。でも上顎の太さだけは雄雌同様だ。餌を採る必要性は同じということなのだろう。
 (尾崎煙雄)

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写真1
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写真2
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写真3
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写真4
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写真5
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 ジグモ Atypus karschi(ジグモ科)

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