No.1230 2014/03/19(水)

 だまされた!


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 貝化石の研究者の友人が、房総にサンプリングに来た。アサリの化石を採集したいというので、数カ所の化石産地に加えて、以前、アサリを拾った記憶がある、君津市内の約40万年前の貝化石層の露頭に案内した。
 二人で貝化石採集を始めたが、一向にアサリは見つからない。それどころか、他の貝化石もやや沖合いに住む種類が多く、アサリなどが産出しそうな感じがしない。
 しばらくして、友人が「これは何?」と指摘するので見てみると、貝化石層より上の、表土の中にアサリがまとまって入っていた。さらに、周辺を見渡すと、現生のホタテガイやハマグリ、サザエ(!)の殻まで落ちている。
 「だまされた!」明らかにこれらは地元の人が食べた殻を捨てたものだ。それが、40万年前の貝化石とごちゃ混ぜになっているのだ。ホタテガイまで入っていることから、もちろん縄文時代などの貝塚でもない。
 案内したのが気心の知れた友人だったからよかったものの、フィールドワークも注意しないと大恥をかく可能性があることを痛感した。
 (加藤久佳)

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写真 貝化石産地に落ちていたアサリ、ハマグリ、ホタテガイ
枯れ葉の下に見える白い貝殻片は化石
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