No.1279 2014/07/24(木)

 トウキョウサンショウウオ


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 清澄山系の森の中。同行のMさんが地表を歩く生きものを見つけた。トウキョウサンショウウオであった(写真1)。体長6センチほどの黒褐色の身体に青白い細かな斑点が無数にある。大きさから考えて、まだ成熟していない若い個体のようだ。かわいい顔をしている(写真2)。当人は間近にカメラを向けられてかなり緊張しているはずだが。
 サンショウウオというと水辺の生きものと思われがちだが、トウキョウサンショウウオは水から離れて生活する。このように森の落葉の間にいる小さな昆虫などを食べている。成熟した個体は冬の繁殖期にだけ水辺に集まり産卵する。房総では1〜3月だ。卵から生まれた子どもはしばらく水中で暮らすが、その年の夏には上陸して、親と同様に森の中で生活する。
 トウキョウサンショウウオは繁殖期の水辺では比較的容易に見られる。しかし、それ以外の時期に森の中で出会うことはとても稀だ。苔むした林床を歩く姿を見ていると(写真3)、太古の海から初めて陸地に進出した両生類の祖先もこんな様子だったのだろうかと想像がふくらむ。
 (尾崎煙雄)

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写真1
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写真2
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写真3
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 トウキョウサンショウウオ Hynobius tokyoensis(サンショウウオ科)

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