No.1304 2014/11/04(火)

 イチモンジハムシ


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 清澄山系にて。シュロの幹にシュロ皮が垂れ下がっている。シュロ皮は葉の付け根の葉鞘という部分のことで、繊維質に富み、シュロ縄などに利用される。写真1は古くなって繊維質だけになったシュロ皮が垂れ下がったところ。まるで毛布のようだ。肌寒い曇天の下、これをみつけた時には「あったかそうだな」と思った。次の瞬間「と、いうことは...」と思いつき、シュロ皮をめくってみたところ、やはりそこには昆虫が隠れていた(写真2)。これはイチモンジハムシという1センチ弱の甲虫。黒い翅と黄色い胸、そして胸に並んだ4つの黒点が特徴だ。この虫は樹皮の下などにもぐり込んで越冬するのだが、あたたかそうなシュロ皮の下は絶好の越冬場所なのだろう。この木だけで10匹以上のイチモンジハムシが集まっていた。
 近年、房総半島南部の沿岸域には近縁のオキナワイチモンジハムシが定着している。こちらは屋久島以南に分布する種だが、人為的に持ち込まれたものが繁殖しているようだ。しかし、同じ房総でもこのような山中は寒すぎるのか、清澄山系ではオキナワイチモンジハムシはまだみつかっていない。両種はよく似ているが、腹側に特徴がある。イチモンジハムシの腹面は後ろ半分が黄色だが、6本の脚の付け根に当たる胸部は黒色だ(写真3)。一方、オキナワイチモンジハムシの腹面は全体が黄色い。
 (尾崎煙雄)

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写真1
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写真2
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写真3
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 シュロ Trachycarpus fortunei(ヤシ科)

 イチモンジハムシ Morphosphaera coerulea(ハムシ科)

 オキナワイチモンジハムシ Morphosphaera japonica(ハムシ科)

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