清和県民の森で中学生対象に地層の授業を行った。まずはスケッチをして地層の様子を観察させたのだが(写真1)、その間、いつもの癖で周囲の生きもの観察を行った。すると目の前のU字溝でトウキョウサンショウウオの卵嚢(写真2)や成体(写真3)を発見したが、地層の授業だったので、すぐに教えたい気持ちを抑えていた。
地層の観察のキリがいいところでその卵嚢を見せると、中学生一同、キャーッという悲鳴とともに私の周りから遠ざかった。彼らが通う中学校や自宅周辺にいるはずなのに、全員見たことが無かったようなのだ。
男子生徒も気持ち悪がっていたが、恐る恐る触らせると「お!気持ちいい!」とのこと。続いて女子生徒の一人が人差し指で触ると「何これ!かわいい〜!」。これを皮切りに交互に卵嚢のゼラチン質の感触を確かめ始めた。一気に地層のことは忘れ、トウキョウサンショウウオの卵嚢の虜になったようだ。
続いてトウキョウサンショウウオの成体を見せようとしたが、すでに枯れ葉の下にもぐり込んで見つからなかった。すると、授業を始める前にカエルや虫等の生きものは嫌いだと言っていた女子中学生一同、「見たかった〜!」と話し始めた。「カエルは嫌いだと言ってたでしょう?」と切り返すと、「見るのは大丈夫!」とのお返事だった。
中学生の『キモ見たい(気持ち悪いけど見たい)』微妙な心理状況を勉強した授業だった。
(大木淳一) |