No.1377 2015/08/13(木)

 クチキコオロギ


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 元清澄山系にて。調査のために番号札をつけてあるヒメコマツの幹に傷がある(写真1)。長さ20センチ、幅3センチ、深さ1センチほどの溝状の傷だ。そのくぼみに何かがいるのに気がついた。近寄ってみると、クチキコオロギであった(写真2)。
 クチキコオロギは体長3センチほどもある大型の「コオロギ」だ。名前はコオロギだが、最近の図鑑では「マツムシ科」に含められている。交尾器の構造が「コオロギ科」と違うのだそうだ。頭が大きく、翅が短いのが特徴。写真2の個体はオスの成虫で、この短い翅でちゃんと「鳴く」ことができるらしい。名前の通り、朽ち木の樹皮下や木のうろなどにいることが多く、夜行性で昼間はじっとしている。写真の個体も、これでしっかり隠れているつもりなのだろう。
 クチキコオロギは南方系の昆虫で、千葉県は太平洋岸の分布北東限に当たる。かつては県北部の松戸市や船橋市でも記録されたらしいが、近年では県南部でしか見つかっていない。お隣の神奈川県でも三浦半島や真鶴半島にしか生息していないようだ。
 (尾崎煙雄)

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写真1
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写真2
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 クチキコオロギ Duolandrevus ivani(マツムシ科)

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