No.1411 2016/01/15(金)

 ツヅミミノムシ


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 三島小の校庭で朽ち木を探ってみたらツヅミミノムシを見つけた(写真1)。円を2つくっつけたような扁平な形の「ミノ」を作る(写真2)ところから、「鼓蓑虫(つづみみのむし)」と呼ばれる。これは通称で、その正体はマダラマルハヒロズコガというガの幼虫である。いわゆるミノムシの仲間(ミノガ類)ではない。アリの巣の周りで暮らしていることが多く、アリの餌のおこぼれやアリの死骸などを食べるらしい。
 この特徴的な形のミノはちょうど二枚貝のようになっていて、くびれの部分の2カ所で2枚のミノがしっかり固定されている。写真3は2カ所のうち1カ所の固定をはずして開いた状態だ。幼虫はやや扁平な体型で、ミノの中の狭い空間を動き回りやすくなっている。頭部と胸部(前端から4つ目の節まで)は黒っぽい色をしている。これはミノの隙間から身体を出した時に目立たないためだと思われる。
 幼虫を腹面から撮影したのが写真4である。左が頭で、頭部の右にある3つの体節が胸部。胸部の各節には棘のように見える脚が1対ずつ生えている。胸部の右に続くのが腹部で、腹部の左から3番目から6番目の体節に1対ずつある楕円形のいぼのようなものが腹脚である。このように、この幼虫はチョウ目(チョウやガの仲間)の幼虫の基本形をきちんと具えているのがわかる。
 ツヅミミノムシはけっして珍しい昆虫ではなく、意外と身近な場所で見つかることが多い。とても面白い昆虫なので探してみてほしい。
 (尾崎煙雄)

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写真1
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写真2
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写真3
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写真4
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 マダラマルハヒロズコガ Gaphara conspersa(ヒロズコガ科)

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