三島小の砂場では今年もハナダカバチがせっせと子育てをしている(写真1)。砂に掘った穴の奥に幼虫の餌となるハエやアブを埋め、卵を産み付けるのだ。
この日は餌を採って帰ってきた母バチを観察することができた。ハナダカバチは狩りの名人である。飛んでいるハエやアブを空中で捕獲し、針で刺して麻酔をかけて巣穴に運んでくるのだ。狩りから戻った母バチはキンバエの仲間とみられる獲物を抱えて巣穴の入口近くに着陸した。
狩りに出かけた際に巣穴の入口は砂をかぶせて塞いであるので、戻った母バチはまず砂を掘って入口を開けなくてはならない。いったん餌を置いてから掘るのだろうと思って観察していたら、意外にも母バチは獲物のハエを抱えたまま穴を掘り始めた(写真2)。
6本しかない脚で大丈夫だろうかという私の心配をよそに、母バチは中脚で獲物を自らの腹の下に抱えたまま前脚を激しく動かして砂を背後にはね飛ばしていく。気のせいかもしれないが、ハエの方もハチの腹部にしがみついているように見える。この間、後脚は自分の身体を支えつつ前進と後退を繰り返した。やがて入口を塞いだ砂を取り除くと、すぐに穴の奥へと獲物を運び込んでいった(写真3)。
穴掘り作業中に獲物を置くと、他のハナダカバチに横取りされてしまうのだろうか。ハナダカバチの能力の高さに改めて感服した。
(尾崎煙雄) |