No.1465 2016/08/12(金)

 ツノトンボの幼虫


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 校庭の片隅でヒメジョオンの茎に丸い粒がたくさんついているのを見つけた(写真1)。長径3ミリほどの俵型で、褐色の鶏卵によく似ている(写真2)。一方の端から5分の1ほどの所に白い線があり、鉢巻き状に一周している。これはツノトンボの卵だ。
 近くにあった別の卵はすでに孵化した後で、「鉢巻き状の白い線」に沿って殻が破れて卵が開いている(写真3)。あの白い線は卵の蓋の「切り取り線」だったのだ。
 付近の別の茎で孵化したばかりのツノトンボの幼虫が群れていた(写真4)。ツノトンボはトンボの仲間ではなく、ウスバカゲロウやクサカゲロウに近縁のアミメカゲロウ目に属する。その証拠に、ツノトンボの幼虫はトンボの幼虫(ヤゴ)にはまったく似ておらず、立派な大あごを持つその姿はウスバカゲロウの幼虫(アリジゴク)に似ている(写真5)。ツノトンボの成虫の先端が球状にふくらんだ長い触角も、トンボ類には見られない特徴だ(写真6)。
 孵化したばかりのツノトンボの幼虫の群れにコハナグモが襲いかかっていた(写真7)。もしかしたら逆にクモの方が襲われているのかもしれないとも思ったが、やがてクモが1匹の幼虫をくわえて歩き出した(写真8)。ツノトンボの幼虫は肉食性で、この後、落ち葉の下などにもぐり込んで他の虫などを補食して暮らす。しかし孵化したての弱々しい幼虫はクモなどの餌食になるようだ。
 (尾崎煙雄)

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写真1
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写真2
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写真3
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写真4
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写真5
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写真6
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写真7
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写真8
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 ヒメジョオン Erigeron annuus(キク科)

 ツノトンボ Hybris subjacens(ツノトンボ科)

 コハナグモ Diaea subdola(カニグモ科)

 


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