No.1478 2016/11/18(金)

 針葉樹の黄葉


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 「ヒメコマツの葉が黄色くなってしまって、これ、枯れてしまうんでしょうか」と尋ねられたことが何度かある。その度に「いえいえ、それは古い葉が落ちる前に黄葉しているだけですから心配ありません」と答える。どうやら、多くの人にとって「松」と「黄葉」はうまく結びつかないらしい。
 樹木の葉は永久に青々としているわけではなく、古くなった葉はいつか枯れて落ちる。このことに例外はない。ちょうど針葉樹の黄葉の時期になったので、できるだけ撮影してみることにした。
 ヒメコマツ(写真1)は黄葉が目立つ樹木だ。1枚の葉の寿命は2年未満なので、この季節になると半分近くの葉が黄葉し、やがて落ちる。枝先の若い葉はこのまま冬を越すので「常緑樹」である。
 アカマツ(写真2)はヒメコマツに比べると目立たないが、やはり古い葉は黄葉している。
 スギ(写真3)やヒノキ(写真4)も黄葉するが、葉の寿命が2年以上あるので、黄葉の分量は少ない。
 モミ(写真5)に至っては葉の寿命が5年を超え、黄葉するのは枝の元の方の古い葉だけなので、遠目には黄葉が目立たない。
 中国原産のスギの仲間、コウヨウザン(写真6)もやはり古い葉が黄葉している。ただし、コウヨウザンの場合は「黄葉」というよりは茶色く枯れた色になっている。
 以上はすべて常緑性の針葉樹だが、中国原産のスギの仲間のメタセコイア(写真7)はすべての葉が黄葉し、じきに落葉する。つまりメタセコイアの葉は寿命が1年未満であり、この木は落葉樹である。
 そして、黄葉で有名なイチョウ(写真8)は「針葉樹」ではないが同じ裸子植物の仲間の落葉樹ということになる。
 (尾崎煙雄)

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写真1  ヒメコマツ
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写真2  アカマツ
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写真3  スギ
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写真4  ヒノキ
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写真5  モミ
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写真6  コウヨウザン
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写真7  メタセコイア
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写真8  イチョウ
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 ヒメコマツ Pinus parviflora var. parviflora(マツ科)

 アカマツ Pinus densiflora(マツ科)

 スギ Cryptomeria japonica(ヒノキ科)

 ヒノキ Chamaecyparis obtusa(ヒノキ科)

 モミ Abies firma(マツ科)

 コウヨウザン Cunninghamia lanceolata(ヒノキ科)

 メタセコイア Metasequoia glyptostroboides(ヒノキ科)

 イチョウ Ginkgo biloba(イチョウ科)

 


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