No.1521 2017/06/02(金)

 ベニキジラミ


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 三島小にて。校舎の外壁をよじ登るミツバアケビのつるの一部が異常な様子になっている(写真1)。葉が縮れ、二つ折りになっているものもある。これはウィルスなどによる病気ではなく、昆虫の仕業だ。
 原因となっているのはベニキジラミという昆虫(写真2)。カメムシ目キジラミ科に属し、アブラムシなどに近縁な昆虫だ。体長はわずか2ミリほど。地味な色あいの種が多いキジラミ科にあって、この種は鮮やかな赤い体色が特徴だ。
 ベニキジラミはアケビやミツバアケビの葉に寄生し、その汁を吸う。二つ折りになった葉を開いてみると、1ミリ前後の幼虫がたくさんいた(写真3)。白い綿のようなものは幼虫が分泌した蝋(ろう)状物質で、水滴のように見えるのは幼虫が排出した「甘露(かんろ)」である。ためしに甘露を指にとってなめてめると、薄い砂糖水のようにほんのり甘い味がした。
 ベニキジラミが寄生した葉の真下にある別の植物の葉の上に点々とアリが集まっているのに気づいた(写真4)。したたり落ちた甘露をなめに来ているのだ(写真5)。このアリはアミメアリのようだが、他の種のアリも集まっていた。
 ベニキジラミは寄生した葉の外側に出て羽化して成虫になるようだ(写真6)。白い羽化殻の間に羽化したての成虫が止まっていた。羽化直後の成虫はまだ色が薄く、緑から薄いオレンジ色である。
 (尾崎煙雄)

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写真1
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写真2
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写真3

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写真4

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写真5

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写真6

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 ミツバアケビ Akebia trifoliata(アケビ科)

 ベニキジラミ Cacopsylla coccinea(キジラミ科)

 アミメアリ Pristomyrmex punctatus(アリ科)

 


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