No.1526 2017/06/14(水)

 ナシアシブトハバチの幼虫


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 佐倉市在住のIさんより、ナシアシブトハバチと思われる幼虫を発見したとのお知らせがあった。ナシアシブトハバチの成虫は色も形も大きさもオオスズメバチに酷似している。私もまんまとだまされた覚えがあるが、ハバチ類は毒針を持たないのでまったく無害である。本種は千葉県では記録が少なく、せっかくの機会なので、幼虫を観察するためにIさんにお願いして博物館に送っていただいた(写真1)。
 ハバチ類の幼虫は植物の葉を食べる。ナシアシブトハバチの幼虫はサクラやナシの葉を食べることが知られている。送っていただいた幼虫は体長約4センチ(写真2)。ハバチ類の中でも最大級の大きさだ。チョウやガの幼虫と誤解されることが多いが、脚の付き方や眼の特徴が違う。
 ハバチ類の幼虫に手で触るなどの刺激を与えると、身体を丸めて縮こまることが多いが、ナシアシブトハバチの幼虫も身体をきつく丸めて動かなくなる(写真3)。大きさと相まって、その姿がカタツムリに似ているという人がいるそうだが、どうだろうか?
 ハバチ類の幼虫はチョウやガの幼虫と比べてかわいい顔をしている。その理由は眼にある。チョウやガの幼虫の多くでは、小さな単眼が頭部の左右に6個ずつ縦に並んでいるが、よほど拡大してみないと眼であることに気がつかない。一方、ハバチ類の幼虫の頭には大きめの単眼が左右に1個ずつあって、いがらしみきお作の漫画『ぼのぼの』の主人公のような顔に見える(写真4)。
 (尾崎煙雄)

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写真1
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写真2
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写真3

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写真4

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 ナシアシブトハバチ Palaeocimbex carinulata(コンボウハバチ科)

 


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