No.1570 2017/12/01(金)

 キジョラン


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 館山市在住のFさんが面白いものを届けて下さった。キジョランの果実だ(写真1)。キジョランはキョウチクトウ科のつる植物で、主に南西日本に分布し、千葉県はその北限に近い。
 長さ12センチほどのさや状の果実の中に多数の種子が整然と収まっている(写真2)。種子本体は長さ13ミリほどで、その一端に長さ3センチ前後の綿毛が密生している(写真3)。果実が乾燥すると中から種子がこぼれ出し、風に乗って飛ばされる仕掛けだ。この綿毛を「鬼女」が振り乱した髪に見立ててキジョランの名がある。
 キジョランは千葉県内ではやや珍しい植物で、南部にのみ分布している。その果実を見ることは稀で、なかなかお目にかかれない。果実ができるほど大きく生育することが少ないのかもしれない。
 アサギマダラというチョウの幼虫がキジョランの葉を餌としている。アサギマダラはキジョラン等の食草に含まれる毒成分を身体に蓄積して天敵から身を守る。アサギマダラの成虫は長距離を移動することで知られ、北海道から沖縄に至る全国で見られる。しかし幼虫で越冬するため、越冬できる地域はキジョランの分布域とほぼ同じである。
 (尾崎煙雄)

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写真1
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写真2
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写真3
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 キジョラン Marsdenia tomentosa(キョウチクトウ科)

 アサギマダラ Parantica sitas(タテハチョウ科)

 


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