No.1577 2018/01/26(金)

 山に見る地層の模様


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 冬になると山を覆う植物が枯れ、地質屋にとっては嬉しい季節である。特に君津市市宿の砂取場の山肌は圧巻で、遠くからでも地層がよく見える(写真1)。このあたりの山々は上総層群市宿層と呼ばれる約70万年前の砂の層からできている。2003年にはこの山から全長約13 mのザトウクジラの化石(全身は残ってはいなかったが)が出てきて、博物館の古生物学者らが発掘調査を行った(写真2)。約70万年前はこのあたりは深い海で、海底には砂がたまっており海流によって砂が動かされてクジラの遺骸を埋めてしまった。地層の中に残っている縞模様はこの流れの痕跡である(斜交層理と呼ばれる)(写真3)。砂漠の砂丘のような大きな砂山が海底の強い流れで動いていたのである。
 山のそばを通るたびに過去の海流のパワーとともに、山の形を変えていく人間のパワーのすごさも感じさせる山肌である。
 (岡崎浩子)

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写真1
君津市市宿の砂取場
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写真2
砂取場から出てきたクジラ化石(2003年)
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写真3
縞模様は地層を作る砂つぶの大きさの違いでできている。
白く見えるのは貝化石。
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