君津市清和地区にて。暖かな日が続く3月中旬、山道で盛んに飛び回るチョウに出会った(写真1)。セセリチョウの1種、ミヤマセセリである(写真2)。
ミヤマセセリの成虫を見ることができるのは春だけだ。このチョウは幼虫で越冬し、春に成虫が羽化する。交尾、産卵を終えた成虫は間もなく姿を消し、次の冬までは幼虫で過ごす。
この日、山道沿いでは多数のミヤマセセリ成虫が活動していた。翅(はね)の模様を見る限り、どれも雄のようであった(写真3)。雄はそれぞれ縄張りを持っているようで、山道沿いの10メートル前後の範囲を飛んで行ったり来たりを繰り返していた。そして他の雄に出会うと、2頭でもつれ合うように飛んでそれぞれ引き返すといった行動を果てしなく続けていた。雌はまだ羽化してこないのだろうか。
3/30に同じ場所に行ってみたら、翅の模様の違う個体が見つかった(写真4)。前翅にはっきりとした白い帯が見える。こちらが雌。雄に遅れて羽化してきたようだ。そして翅がぼろぼろになった雄も見つかった(写真5)。他の雄との争いの結果であろうか。
このチョウの幼虫はコナラなどの樹木の葉を食べる。コナラの若葉が出始めるこの時期は、ミヤマセセリにとっては年に一度だけの繁殖時期である。
(尾崎煙雄) |