No.1507 2017/04/07(金)

 ウグイ


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 房総丘陵の小川で採集をしたところ、ウグイを捕まえることができた(写真1)。ウグイは一般的には河川の下流から中流域で見られる淡水魚だが、高い山が存在せず、イワナやヤマメが生息しない房総半島では上流域でも見られる。普段は地味な体色をしているウグイだが春になると雌雄ともに3本の朱色の帯が現れとても美しい。この個体は未成熟個体ではっきりとした婚姻色を呈していないが、臀鰭(しりびれ)や尾鰭(おびれ)が少しだけ色づいていた(写真2)。
 ウグイの特徴として特筆すべきことは強酸性環境でも生息することができることである。青森県恐山湖や山形県須川はpH3と強酸性であるが、普通に泳ぐ姿を見ることができる。これはエラにある細胞が特殊化しており、酸性環境に適応できるためと考えられている。またコイ科の淡水魚では珍しく、生活の一部を海で過ごす降海型も知られている。
 見た目は地味だが酸性環境や海水まで生息することができるウグイはすごい魚である。
 (後藤亮)

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写真1
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写真2
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 ウグイ Tribolodon hakonensis (コイ科)

 


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