No.1509 2017/04/16(日)

 イタヤハマキチョッキリ


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 穏やかな春の陽光の中、清和県民の森を歩いた。開いたばかりのイロハモミジの新葉の陰に、にぶく赤く光る昆虫を見つけた(写真1)。
 撮影しようとカメラを近づけると、虫はぽろりと葉から地面に落ち、歩いて逃げ出した(写真2)。オトシブミの仲間のようだ。体長は7ミリほど。虫が動きを止めるのを辛抱強く待ってクローズアップ撮影した(写真3)。イタヤハマキチョッキリの雌である。背面は一面に赤紫色の金属光沢を帯び、前方に細長く突き出した頭部の側面などには緑から藍色の部分がある。そのグラデーションはまさに虹だ。
 イタヤハマキチョッキリは春先のカエデ類の新葉を何枚も巻いて、中に卵を産み付ける。孵化した幼虫はカエデの葉を食べて成長する。オトシブミ類はこのように葉を巻いて「揺籃(ようらん)」を作り産卵する習性がある。揺籃とは「ゆりかご」のこと。オトシブミ類の幼虫にとっては、身を守ると同時に食料にもなる理想のゆりかごである。
 (尾崎煙雄)

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写真1
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写真2
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写真3

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 イロハモミジ Acer palmatum(カエデ科[E]/ムクロジ科[A])

 *[E]はエングラー体系、[A]はAPG体系による科名

 イタヤハマキチョッキリ Byctiscus venustus(オトシブミ科)

 


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