No.1617 2018/6/19(火)
ムネモンアカネトラカミキリ
房総丘陵にて。炭焼きの材料としてカシ類の丸太が積まれている(写真1)。初夏のこの時期、このような伐採木にはカミキリムシの仲間が多く集まる。 この日もっとも多く見られたのがムネモンアカネトラカミキリであった(写真2)。別名「アマミトラカミキリ」とも呼ばれる。別名のとおり、このカミキリは南西諸島に分布するが、なぜか飛び離れて房総半島南部に生息している。自然分布ではないと推定されているが、由来はわかっていない。この10年ほどの間に増えている印象がある。 体長は雌が15ミリ内外、雄は小さく10ミリ内外。漆黒の地にやや黄色味を帯びた独特の紋がある(写真2)。活発なカミキリで、丸太の表面をすばやく走り回り、人の気配を感じるとすぐに飛び立ったりするので写真撮影が難しい。 辛抱強く待って、ようやく1匹の雌が静止した。息を殺してレンズを近づけ撮影していると、視野の左から駆け寄ってきた雄が雌に抱きついた(写真4)。伐採木はカミキリの繁殖と産卵の場所なのだ。交尾後の雌はこの丸太に産卵するのだろう。もっとも、間もなくこの丸太は窯で焼かれて炭になってしまうのだが。 (尾崎煙雄)
ムネモンアカネトラカミキリ(アマミトラカミキリ) Xylotrechus atronotatus angulithorax(カミキリムシ科)