No.1623 2018/7/20(金)

 キジョラン


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 小糸川上流にて。渓流の縁でキジョランを見つけた(写真1)。河岸の崖の中程に生えた木に絡みついていたものが、ちょっとした土砂崩れで木ごと落ちてきたようだ。小さな花も咲いていた(写真2)。
 キジョランは南方系の常緑性つる植物で、千葉県はそのほぼ分布北限に位置し、県の南部にだけ生育している。そして、このキジョランはアサギマダラというチョウの幼虫の食草である。アサギマダラは長距離飛行をするチョウとして知られ、夏には本州の高原や北海道にまで達するが、秋には南下し、暖地で越冬する。関東地方沿岸部はその越冬可能地帯の北限である。
 このキジョランの葉にかじり取られたような痕を見つけた(写真3)。有毒植物であるキジョランをこんなふうに食べる昆虫はアサギマダラの他にはいない。しゃがみ込んで葉の裏を探すと、期待どおり蛹が見つかった(写真4)。緑色に輝くこの蛹はまさにアサギマダラのものだ(写真5)。
 こんな発見に興奮して写真を撮りまくっていたら、同行していた同僚に「子どものようだ」と笑われた。

 (尾崎煙雄)

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写真1
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写真2
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写真3
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写真4
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写真5
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 キジョラン Marsdenia tinctoria var. tomentosa(キョウチクトウ科【A】、ガガイモ科【E】)

 【A】:APGIII体系、【E】:新エングラー体系

 アサギマダラ Parantica sita(タテハチョウ科)

 


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