No.1628 2018/8/3(金)

 カナブンいろいろ


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 東京大学千葉演習林のMさんからカナブン類の標本をいただいた。カナブンといえば、普通は写真1の下のように褐色系で光沢のある甲虫だが、実はいろいろな体色のものがいる。しかも、カナブンという種の中の色違いだったり、よく似た別種だったりして、意外と難しい。房総丘陵の森で見られるのは、カナブン、アオカナブン、クロカナブンの3種だ。写真1の上の個体はアオカナブン。
 アオカナブンは名前の通り青緑色の光沢を持つ美しい種で、光の角度によっては黄緑色を帯びた光沢に変化する(写真2)。ややこしいことに、カナブンの色彩変異でほとんど同じ青緑色の光沢をもつものもいる。
 クロカナブンは全身が黒光りする種で、脚や胸の一部に生えた濃い黄色の毛がアクセントだ(写真3)。カナブンやアオカナブンより成虫の発生時期が少し遅いようで、8月に多くなる傾向がある。
 そして、写真4はカナブンの赤色タイプ。クロカナブンが「黒漆」だとすれば、このカナブンは「朱漆」で仕上げたように見える。
 このようにカナブンの仲間の体色は多様で色だけでは種を見分けられないが、簡単な識別法がある。身体の下面の後ろ脚の付け根がポイントで、写真5のように、左右の脚の付け根が離れているのがカナブン、左右の脚の付け根が接していればアオカナブンかクロカナブンである。

 (尾崎煙雄)

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写真1
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写真2
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写真3
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写真4
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写真5
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 カナブン Pseudotrynorrhina japonica(コガネムシ科)

 アオカナブン Rhomborhina unicolor(コガネムシ科)

 クロカナブン Rhomborhina polita(コガネムシ科)

 


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