小さい沢を登っていると、視界にうねうねと動くものが入った。ハリガネムシだ（写真１）。ハリガネムシは、カマキリなどに寄生していることで有名だが、寄生するのは生活史の一時期であり、繁殖は水中で行う。ハリガネムシと言っても実は沢山の種類がおり、日本だけで見ても１０種を超える。ただ形態的な特徴が非常に乏しいため分類が非常に難しく、別の種であるものが同一種として扱われていることが多いようなので、実際にはもっとたくさんの種がいるのだろう。
　別の場所では、ハリガネムシが溜まっているくぼみがあった（写真２、３）。同じようなくぼみは他にもいくつかあったが、この場所にだけハリガネムシがいたことを考えると、繁殖のために集まっていたのかもしれない。白っぽいものから、茶色っぽいものまで色彩変異があることを初めて知った。集合するとなんとも気持ちの悪いものだが、なかなか観ることがないので、夢中になって動画や写真を撮った。

　（後藤　亮）