No.1677 2019/3/15(金)

 クワゴマダラヒトリ


dummy

 三島小にて。校庭の片隅でたくさんの毛虫を見つけた。一見したところ、春先によく見かけるマイマイガの幼虫かと思ったが、どうも違う。体長は2センチほど(写真1)。よく見ると3対ほどの白く長い毛が目立つ。これはクワゴマダラヒトリというガの幼虫であった。
 クワゴマダラヒトリはその名の通り、クワの害虫として有名だが、幼虫はクワ以外にもさまざまな植物を食べることが知られている。この日見つけた幼虫は意外な植物ばかり食べていたので記録してみた。
 一つ目はテイカカズラ(写真1)。常緑性の硬い葉の表面を削り取るように食べた痕が認められた。二つ目はミツバアケビ(写真3)。これも葉の表面を削り取るように食べていた。三つ目はベニシダ(写真4)。これには多数の幼虫が集まっており、やはり葉の表面を削り取るように食べた痕があった(写真5)。最後はヒメカンスゲ(写真6)。花茎の先に止まり、花か花茎を食べているようであった。
 クワゴマダラヒトリの成虫は夏に出現し、アカメガシワやカラスザンショウなどの樹木に産卵する。孵化した幼虫はしばらく産卵木で過ごし、落葉期になると糸で作った膜の中で集団で越冬する。春先に活動を開始しさまざまな植物を食べるが、飼育実験によると与える餌植物によって成虫にまで成長できる場合とそうでない場合があるそうだ。
 考えてみれば、クワゴマダラヒトリの食草とされているクワやクリ、コナラその他の落葉樹はどれもまだ葉を展開していない。だとすると、クワなどの葉が出るまでの「つなぎ」の餌としてさまざまな植物を食べる性質があるのだろうか。この日見つけた幼虫たちのその後が気になる。
 (尾崎煙雄)

dummy
dummy
写真1
dummy
dummy
写真2
dummy
dummy
写真3
dummy
dummy
写真4
dummy
dummy
写真5
dummy
dummy
写真6
dummy
dummy

 マイマイガ Lymantria dispar(ドクガ科)

 クワゴマダラヒトリ Lemyra imparilis(ヒトリガ科)

 テイカカズラ Trachelospermum asiaticum(キョウチクトウ科)

 ミツバアケビ Akebia trifoliata(アケビ科)

 ベニシダ Dryopteris erythrosora(オシダ科)

 ヒメカンスゲ Carex conica var. conica(カヤツリグサ科)

 


ニュース一覧へもどる