No.1680 2019/3/17(日)

 スハマソウ


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 房総丘陵のコナラ林にて。スハマソウの花を見つけた(写真1)。落葉樹の葉が展開する前の明るい林床に数十株が点在して咲いていた。
 直径1センチ半ほどの花で、6枚ほどある白い「花びら」は萼片(がくへん)。白い萼片は何者かにかじられたあとがあった。花の直下には緑色の「がく」のようなものが3枚見えるが、これは萼片ではなく葉である(写真2)。
 花の中心にある「こんぺいとう」のようなものが雌しべの集まりで、その周囲にある10本ほどの糸状のものが雄しべ(写真3)。
 スハマソウは本州と四国に分布し、千葉県内ではなぜか房総丘陵の山中と北総台地の北部の2カ所に飛び離れて生育する。北総のスハマソウは白花ばかりで、房総丘陵には白と淡紅色の花が見られるとされているが、房総丘陵でも白花以外は滅多にみつからない。
 スハマソウに比べて萼片が細長くて数が多く、葉の先がとがるものを別品種ミスミソウというが、千葉県にはミスミソウは分布しない。しかし、株ごとに花や葉の形には変異があり、萼片が細長く葉の先が丸いもの(写真4)や、萼片は幅広で葉の先がとがり気味のもの(写真5)も見つかる。一つ一つ見ていると、「これはミスミソウっぽい?」と思わされる株にも出会うのだが、集団全体として見ると平均的にはスハマソウの特徴を示していることがわかる。
 (尾崎煙雄)

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写真1
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写真2
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写真3
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写真4
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写真5
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 スハマソウ Hepatica nobilis var. japonica f. variegata(キンポウゲ科)

 ミスミソウ Hepatica nobilis var. japonica f. japonica(キンポウゲ科)

 


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