No.1688 2019/4/14(日)

 イナズマハエトリ


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 三島小の校庭にて。サクラの幹を覆い尽くすように生育するウメノキゴケ。名前に「ゴケ」とあるが、「コケ植物」ではなく「地衣類」の1種だ。地衣類はキノコの仲間である菌類の身体に藻類が共生した生物で、共生藻類による光合成によって養分を得る。
 平べったい葉状に広がるウメノキゴケの表面や樹皮とのすき間は昆虫などの小さな動物の生息場所になっている。目を凝らして探していると、5ミリほどのクモが目に止まった(写真1)。拡大して見ると、白っぽい毛と黒っぽい毛が織りなす縞模様が特徴的なイナズマハエトリの雌であった(写真2)。
 ハエトリグモの仲間は「徘徊性(はいかいせい)」といい、網を作らず歩き回って昆虫などの餌を狩るハンターだ。頭部の前面に並ぶ2つの大きな眼により、獲物との距離を正確に見極める立体視ができる(写真3)。
 排気ガスなどの大気汚染物質に敏感なウメノキゴケは都市部では見られない。汚染の少ないこの地域では地衣類が繁茂し、そこを住処とする小動物も豊かである。
 (尾崎煙雄)

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写真1
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写真2
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写真3
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 ウメノキゴケ  Parmotrema tinctorum (ウメノキゴケ科)

 イナズマハエトリ  Pseudicius vulpes (ハエトリグモ科)

 


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