No.1691 2019/4/25(木)

 展望地点と地形


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 先日の「山の学校」の観察会では、清和県民の森自然観察路の途中にある展望台から、春色に染まった房総丘陵を心ゆくまで眺めることができた(写真1)。

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写真1 清和県民の森自然観察路展望台から南方向を眺望
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 このような少し高いところから眼の前に広がる風景を見る時、まず眼に入るのは、季節的な変化や動きのある動植物などの生物的自然であろう。そしてその土台となっているのが、地形や地質あるいは水などの地学的な環境である。このうち「遠くの山々」や「川や海の近くの平らな土地」など、ふだん何気なく見ている風景が「地形」であり、地学的環境の中では最も目に入りやすいという特徴がある。しかしふつうは地形を意識して見ないので、「見れども見えず」になっていることが多い。また眼の前の地形がどれくらいの規模で広がっているかは、地面の上にいるとよくわからない。むしろ少し離れたところから俯瞰して全体を見ることで、地形は理解しやすくなる。
 近年、観光地や地域の自然観察ルート沿いなどに、周囲の景観を展望できるような場所を整備しているところが多い。鹿野山の白鳥神社の近くにある「九十九谷展望公園」もそのひとつである(写真2)。

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写真2 鹿野山九十九谷展望公園
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 ここからは、鹿野山の南側に広がる細かい谷に刻まれた九十九谷と、その背後に房総丘陵の山並みが幾重にも続く景観が眺望できる(写真3)。

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写真3 九十九谷の景観(手前)と房総丘陵の山々
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 このような場所には、多くの場合、東西南北の方向、見えている山(ピーク)の地名、富士山がどの方向に見えるかなどを示す解説版が置かれている(写真4、5)。これらは自分が今いる場所と、見えている景観の地理的な位置関係を知る上で役に立つ。さらに欲を言えば、眼の前に広がる地形の特徴やその成り立ちについて、わかりやすく解説してあれば良いと思う。

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写真4 展望地点(展望公園の駐車場)に置かれた解説版
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写真5 解説版に書かれた山名と標高、ローマ字表記の 他にハングル表記もある
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 房総丘陵にも、知られざる魅力的な景観(地形)がたくさんある。それらが見られる場所の情報、地形の成り立ちや変化のようす、自然と人との関わりなどについて、いろいろな形で伝えていきたいと考えている。なお九十九谷の地形の特徴と成り立ちについては、また改めて紹介したい。
 (八木令子)

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