No.1711 2019/07/03(水)

 コガネグモの一種の幼体


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 清澄山系にて。常緑低木イズセンリョウの葉の間に1円玉ほどの大きさの白い円盤があるのに気づいた(写真1)。

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写真1
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 接近して見るとクモの巣のようだ(写真2)。ジグザグの線で描いた幼児の落書きのような円の周囲に、細い糸でできたクモの網が見える。目を凝らすと、白い円の向こう側に8本の脚を2本ずつそろえて四方に広げたクモの姿が見えた。

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写真2
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 クモが動いて姿を現した(写真3)。コガネグモの一種の幼体のようだ。昆虫の場合は成長の最終段階を成虫、その前の若い個体を幼虫というが、クモの場合は「成体(せいたい)」、「幼体(ようたい)」と呼ぶ。この幼体は脚を除いた体長が1センチに満たない子どもだが、小さいながらも立派な網を張っている。
 網の中央にある太い糸で描かれたジグザク模様を「隠れ帯(かくれおび)」と呼ぶ。隠れ帯は網に止まったクモが姿を隠すためのものと考えられる。実際、隠れ帯の裏側に静止していると、そこにクモが隠れていることになかなか気づかない(写真2)。幼体とはいえ、見事な造形の能力が具わっていることに感心した。
 (尾崎煙雄)

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写真3
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 イズセンリョウ  Maesa japonica (サクラソウ科)

 コガネグモ属の一種 Argiope sp. (コガネグモ科)

 


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