No.1719 2019/07/31(水)

 鳥の食べあと


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 林の中を歩くと、体がバラバラになった虫の死骸を見かけることがある(写真1)。いつも決まって、胴体は残されていない。この正体は、カラスやフクロウなどの鳥の食べあと。やわらかく身が詰まった胴体、特に腹を好んで食べ、残りの硬くて食べにくい部分や、身が詰まっていない部分には興味がないよう。私たち人間が、魚介類を食べたあとに骨や殻が残るのと同じである。

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写真1  君津市内の林で見つかった鳥の食べあと
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 君津市内で見つけたカブトムシ、ノコギリクワガタ、コクワガタ、ミヤマカミキリ、タマムシのうち、ミヤマカミキリの死骸は外灯のそばに落ちていた。夜間に明かりに誘引されて飛んできたところを、その夜か翌朝に餌食になった可能性がある。
 鳥たちにとって、多くの虫が集まる外灯のまわりは、魅力的な餌場である。それを証明するように、一般的に昼行性の種類の鳥でも、夜間に明かりのまわりで活動する個体も確認されている。また、餌になる虫のほうも、明かりへの誘引されやすさは種類によって異なり、あるいは同じ種類でも性別などによって差がある場合もある。そうすると、明かりによって、特定の種や個体に対する捕食圧が高められているかもしれない。
 夜の明かりを取り巻く捕食者の行動や食物連鎖とその変化は、私たちの普段の暮らしが、意図せぬところで生態系に与えている影響の一つである。
 (平田和彦)

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 カブトムシ Allomyrina dichotoma(コガネムシ科)
 ノコギリクワガタ Prosopocoilus inclinatus(クワガタムシ科)
 コクワガタ Dorcus rectus(クワガタムシ科)
 ミヤマカミキリ Massicus raddei(カミキリムシ科)
 タマムシ(ヤマトタマムシ) Chrysochroa fulgidissima(タマムシ科)

 


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