No.1735 2019/10/05(土)

 セミヤドリガ


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 清澄山系にて。森の地面に落ちた枯葉に黒っぽくて目立たない虫がいることに同行者が気づき教えてくれた(写真1)。見かけの体長は1センチほど。セミヤドリガというガの1種だ。黒地に白のまだら模様で、とても地味なガである。そうと知らなければまず気づかれることのない虫だ。

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写真1
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 近くの別の落ち葉にはセミヤドリガの繭もあった(写真2)。白い綿を集めたような小さな塊だ。今がちょうどセミヤドリガの羽化の時期らしい。

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写真2
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 セミヤドリガはその名の通りセミに寄生する。以前、真夏にセミの身体に寄生した幼虫を撮影した(写真3)。セミの腹部に貼りついて体液を吸い栄養を得ている。興味深いことに、このガは雌が交尾することなく卵を産む。これを単為生殖(たんいせいしょく)という。ただし、ごく稀に雄が見つかることがあるらしい。
 (尾崎煙雄)

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写真3 2013年8月28日撮影
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 セミヤドリガ Epipomponia nawai(セミヤドリガ科)

 


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