No.1741 2019/10/27(日)

 田んぼの食物連鎖




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 君津市の田んぼに、甲高い声で鳴きながら飛ぶ、白と黒の小鳥がいた。ハクセキレイである。ユーラシア大陸やアフリカ北部に広く分布し、多くの亜種がいる。日本では都市部から山間地まで幅広い環境で通年見られる。
 着地すると、尾羽を上下させて、小刻みに移動しては立ち止まりを繰り返す。田んぼの真ん中の舗装された農道と、両脇の草との境目を気にしながら、餌を探していた。少し離れた道路の上を急いで横断するケラを目ざとく見つけると、飛んで近づき、あっという間につつき始めた。ケラは、まず頭をつつかれ、動きを封じられた。ハクセキレイは何度かくわえなおしてケラの頭の向きを変え、最後は頭から飲み込んだ(写真1,2)。

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写真1.頭をつぶしたケラをくわえるハクセキレイ
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写真2.ケラを丸飲みするハクセキレイ
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  そんなハクセキレイたちを狙う動物がいた。イエネコである。野生化したネコは、様々な野生動物を捕食する。特にもともとキツネやイタチがいなかった島などでは、野生化したネコが原因で絶滅の危機に瀕している希少な鳥類もいる。

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写真3.野良猫の視線の先には2羽のハクセキレイ
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 現在、中央博物館では秋の展示「カミツキガメ」を開催中である。ぜひ展示を訪れて、ネコやカミツキガメのように人間によって広まってしまった外来種が生態系に与える影響について、考えるきっかけとしていだきたい。

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(平田和彦)

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 ハクセキレイ Motacilla alba(セキレイ科)

 ケラ Gryllotapla orientalis(ケラ科)

 イエネコ Felis catus(ネコ科)

 


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