教室博日記 No.1759

 2020/01/09(木)

 ヤナギイチゴ

 清澄山系にて。林道脇に生えた低木(写真1)。これはヤナギイチゴだ。

林道脇に生えたヤナギイチゴの木
  • 写真1

 図鑑などには「落葉低木」と書かれていることが多いが、寒中のこの日も青々とした葉を茂らせていた(写真2)。実はヤナギイチゴは気候によっては冬でも落葉しないことがある。このような植物を「半常緑植物」という。ヤナギイチゴは南西日本の植物で、房総半島はほぼ分布北限なのだが、暖冬の今年、ヤナギイチゴは落葉せずに春を迎えるかもしれない。

真冬なのに葉をつけている
  • 写真2

 ところで、ヤナギイチゴという名は少しまぎらわしく、この植物はヤナギの仲間でもイチゴの仲間でもない。細長い葉の形がヤナギに似ていることと、橙色に熟す果実が木イチゴに似ていることからこの名がある(写真3)。

ヤナギイチゴの葉と果実
  • 写真3 2017/07/10撮影

 ヤナギイチゴの果実は7月頃に見られる(写真4)。ちょうどあと半年後には、木イチゴに似て甘酸っぱくておいしいヤナギイチゴの果実が楽しめるだろう。

果実のアップ
  • 写真4 2017/07/10撮影
  • ヤナギイチゴ Debregeasia orientalis(イラクサ科)

(尾崎煙雄)