2020/01/17(金)
カワウのコロニー
市原市のダム湖の上空を、カワウが飛び交っていた。よく見ると、後頭部や足の付け根にきれいな白色部のある個体が多い(写真1)。これは婚姻色で、繁殖個体であることを示している。

- 写真1 婚姻色のカワウ
多くの野鳥は夏季に繁殖するが、カワウは一年を通じて繁殖することができる。1月中旬という厳冬期にもかかわらず、湖畔の林には、数十巣からなるコロニーが形成されていた(写真2)。

- 写真2 カワウのコロニー
カワウの巣は、樹上に枝を組んで作られる。まさに巣作りの真っ最中で、巣の材料となる木の枝をくわえてコロニーに帰ってくる個体もいた(写真3)。

- 写真3 巣材の枝を運ぶ親鳥(左上の飛翔個体)
ところで、このダム湖では、大規模な水上メガソーラーの建設が進められており、非常に広い範囲の湖面がソーラーパネルで覆われている(写真4)。また、観察地点の対岸の湖畔には、破損したソーラーパネルが折り重ねられていた。これは、昨年9月の台風15号の強風によって損壊し、火災を招いたものである。再生可能エネルギーの需要が高まる中、メガソーラー発電に寄せられる期待や不安は大きいが、メガソーラー発電が生態系に及ぼす影響についてはよくわかっていない点も多い。湖に生息する水鳥の個体数や行動、繁殖成績などをモニタリングすることで、その一端を明らかにできるかもしれない。

- 写真4 ダムの湖面を覆う大量のソーラーパネル
- カワウ Phalacrocorax carbo(ウ科)
(平田和彦)