教室博日記 No.1766

 2020/02/01(土)

 冬の田んぼの鳥の“隠れ家”

 市原市の田んぼ。晴れの日が続き、田んぼや畦に伸びた草が、いたるところで焼かれていた。そんな中、丈の高いヨシが残された一画があった(写真1)。そこにスズメの群れが吸い込まれていった(写真2、3)。近づくと、非常にさわがしい無数の鳴き声が聞こえ、ヨシ原の縁だけでなく、外からは見えない内部にも何羽いるのか見当がつかないほど多くのスズメがいることがわかった。さらに観察を続けると、数羽のスズメがヨシ原から周りの畦に出てきて、地面で餌をついばんでは、またヨシ原に戻るのを繰り返していた(写真4)。ヨシ原のすぐそばで餌を食べることで、天敵から襲われるのを避けているように見えた。

  • 写真1 田んぼの一角にあったヨシ原
  • 写真2 スズメの群れ
  • 写真3 ヨシ原に吸い込まれていったスズメの群れ
  • 写真4 ヨシ原の縁で採餌するスズメの群れ(奥にはツグミも見える)

 ヨシ原からは、キジのつがいも出てきた(写真5)。絶滅危惧種のカシラダカもいた(写真6)。この限られた範囲に、多くの鳥が集中しているようだ。焼き払われずに残ったこのような植生は、開けた田んぼに生息する様々な鳥にとって、貴重な“隠れ家”なのかもしれない。

  • 写真5 ヨシ原から出てきたキジのつがい
  • 写真6 カシラダカ
  • スズメ Passer montanus (スズメ科)
  • キジ Phasianus colchicus (キジ科)
  • カシラダカ Emberiza rustica (ホオジロ科)
  • ツグミ Turdus naumanni (ヒタキ科)

(平田和彦)