教室博日記 No.1778

 2020/02/28(金)

 ツバキキンカクチャワンタケ

 三島小にて。ツバキの木の根元で小さなキノコをみつけた(写真1)。直径8ミリほど。

ツバキの根元に生えたキノコ
  • 写真1

 これはツバキキンカクチャワンタケだ(写真2)。名前の通り、お椀型をしている。このキノコは、地面に落ちた古いツバキの花から発生する、ちょっと変わった菌類だ。

ツバキキンカクチャワンタケの形状
  • 写真2

 周囲にはこのキノコがたくさん発生していて、1カ所にいくつも集まって発生しているものもあり、6個のキノコ(子実体)が生えていた(写真3)。

まとまって生えたツバキキンカクチャワンタケ
  • 写真3

 まだ小さく、お椀型になりきっていない幼菌も見つかった(写真4)。

ツバキキンカクチャワンタケの幼菌
  • 写真4

 採集して観察してみた。写真4の幼菌は直径1センチほどの黒くて硬い円盤状のものから生えていた(写真5)。この「円盤状のもの」を菌核(きんかく)といい、枯れたツバキの花の一部に菌糸(きんし)がはびこって硬い木片のようになったもの。

菌核から生える様子
  • 写真5

 1カ所に6個の子実体が集まって発生していたもの(写真3)は、どうやら落下したツバキのつぼみから発生しているようだ(写真6)。小さな松ぼっくりのようなものが枯れたツバキのつぼみ。

枯れたつぼみから発生する様子
  • 写真6

 写真6のつぼみを下側からみると、6本の子実体は、みなつぼみの1カ所から柄を伸ばしているように見える(写真7)。たぶん、枯れたつぼみの内部に菌核を形成しているのだろう。

下側からみたつぼみ
  • 写真7
  • ツバキ Camellia japonica(ツバキ科)
  • ツバキキンカクチャワンタケ Ciborinia camelliae(キンカクキン科)

(尾崎煙雄)