2020/03/25(水)
コガネムシタンポタケ
清澄山系にて。林道脇に転がった朽ち木の表面に薄いオレンジ色の小さな突起が密集しているのに気がついた(写真1)。

- 写真1
「もしや」と思い、朽ち木を少しだけ崩してみると、中の空間にクリーム色の塊が見えた(写真2)。塊にはまばらに毛が生えているのもわかる。これはコガネムシの仲間の幼虫で、オレンジ色の突起はその幼虫から生えたキノコに違いない。

- 写真2
コガネムシ類の幼虫に生えるキノコといえば、コガネムシタンポタケである。「冬虫夏草(とうちゅうかそう)」と呼ばれる昆虫寄生菌の1種だ。昨年5月に君津市内の渓谷で朽ち木から生えたコガネムシタンポタケを観察した(写真3)。2センチほどの小さなキノコだが、丸くふくらんだ先端部は鮮やかなオレンジ色で、暗い森の中でも目立っていた。

- 写真3 2019/05/10君津市内にて撮影
先端のふくらみを結実部といい、結実部の表面に見える小さな粒状の点々の一つ一つが子嚢殻(しのうかく)と呼ばれる器官で、中には胞子を収めた子嚢(しのう)がたくさん入っている(写真4)。

- 写真4 2019/05/20君津市内にて撮影
昨年5月に朽ち木から掘り出したコガネムシタンポタケは幼虫も含めて長さ3センチ半ほど。幼虫の身体からキノコが生じている様子がよくわかる(写真5)。柄の根元の方は白く、上半部は黄色からオレンジ色に色づいている。幼虫の養分を使って生育しているのに、幼虫よりもキノコの方が大きいのが不思議だ。

- 写真5 2019/06/01撮影
房総丘陵でコガネムシタンポタケが発生するのは初夏の頃だと思っていたので、3月に見つかるとは意外であった。この日に見つけたコガネムシタンポタケはまだ結実部がない未熟な幼菌のようだが、これから5月頃まで時間をかけて成長するのだろうか。
- コガネムシ科の1種 Scarabaeidae sp.(コガネムシ科)
- コガネムシタンポタケ Ophiocordyceps neovolkiana(オフィオコルディセプス科)
(尾崎煙雄)