教室博日記 No.1789

 2020/03/25(水)

 キイロスズメバチ

 清澄山系にて。ウラジロガシの枯れ木が林道脇に立っていた。同行者が樹皮をはがしてみると、樹皮とぐずぐずに朽ちた材との間にハチが隠れていた(写真1)。

樹皮をはがすと、そこにハチが
  • 写真1

 体長は2センチ半ほど。キイロスズメバチの越冬女王だ(写真2)。

キイロスズメバチの越冬女王
  • 写真2

 ピンセットでつまみ出してみると強く羽ばたき、鋭い大あごでさかんに噛みつこうとするが、お尻にある針で刺そうとする仕草はしなかった(写真3)。

ピンセットに噛みつくハチ
  • 写真3

 キイロスズメバチの越冬女王とは、前年の晩秋に生まれた新世代の女王バチのこと。同時期に別のコロニーで生まれた雄バチと出会い、交尾した後に朽ち木などにもぐり込んで冬を越したもの。春に冬眠からさめると、たった1匹で巣作りを始め、産卵して働きバチの幼虫を育てる。順調なら秋には一つの巣に数百から千匹もの働きバチをかかえる大集団となるが、それもこの1匹の越冬女王から始まる。撮影後に元の場所に戻してやったら落ち着いたようだが、貯えていたエネルギーを少し消耗させてしまったかもしれない(写真4)。

元の場所にもどしてやった
  • 写真4
  • ウラジロガシ Quercus salicina(ブナ科)
  • キイロスズメバチ Vespa simillima xanthoptera(スズメバチ科)

(尾崎煙雄)