教室博日記 No.1835

 2020/07/16(木)

 セマダラナガシンクイ

 清澄山系にて。いつも見ているケヤキの伐採木を観察していると、樹皮に栓がされたような直径3ミリほどの孔があることに気が付いた(写真1)。良く見るとその栓がわずかに動いている。なんだろうとよく観察すると、甲虫のお尻(見えているのは正しくは上翅の後端部分)のようだ。

樹皮に開いた孔
  • 写真1

 苦労してこの虫を捕まえてみたらセマダラナガシンクイだった(写真2)。この虫は、体が細長く、長さは約1センチ、胸部の造形が魅力的な甲虫だ。上翅の後端が急に下に向いた形をしていて、その部分がちょうど孔の入口で栓のように見えたのだ。

セマダラナガシンクイ
  • 写真2

 本種が属するナガシンクイムシ科は、木材に穿孔し内部に産卵する。幼虫が木材の中を食い荒らすので、木材害虫とされる種も含まれる。この個体も産卵のために孔を開けていたところかもしれない。

  • ケヤキ Zelkova serrata(ニレ科)
  • セマダラナガシンクイ Lichenophanes carinipennis(ナガシンクイムシ科)

(斉藤明子)