教室博日記 No.1840

 2020/07/30(木)

 トウキョウクモゾウムシ

 清澄山系にて。マテバシイの立ち枯れや切り株にあまり馴染みの無いゾウムシが集まっていた(写真1)。体長(口吻は含まず)は約7ミリ。帰ってから調べたらトウキョウクモゾウムシというゾウムシ科クモゾウムシのなかまの一種だった。クモゾウムシ類は目が頭の大半を占めるほど大きくて左右の目がほとんどくっついているのが特徴だ。前から見るとなんとも愉快な顔をしている(写真2)。

マテバシイ立ち枯れに止まるトウキョウクモゾウムシ
  • 写真1
トウキョウクモゾウムシのゆかいな顔
  • 写真2

 素早く歩いてはピタッと止まり、また素早く歩き出す、その動きがハエトリグモなどに似ているのでクモゾウムシと呼ばれるのだろうか。歩き方はクモに似ているといえば似ているが、クモと違ってとても素早く飛び去ってしまう。さすが翅(はね)のある昆虫だ。捕まえるときは、あの大きな目に見つからないようにそぉっと手をぎりぎりまで近づけ、そのあとパッとすばやく押さえないと逃げられる。

 和名がなぜ「トウキョウクモゾウムシ」なのだろうと、1963年に発表されたこの種の原記載論文(新種として学名が付けられた論文)を見てみた。すると、この種は1940年に“Aoyama, Tokyo, Honshu”で採集された標本を基に、Euryommatus tokioensisという学名で命名されていた。このことからトウキョウが和名についたようだが、現在の東京青山にはとうてい生息しているはずは無く、千葉県でもあまり記録の無い珍しい種である。

  • マテバシイ Lithocarpus edulis(ブナ科)
  • トウキョウクモゾウムシ Euryommatus tokioensis(ゾウムシ科)

(斉藤明子)