教室博日記 No.1858

 2020/08/27(木)

 クロヒラアシキバチ

 清澄山系にて。メツブテントウを見つけた同じ森で、こんどはわずかに藍色に輝く体長約25ミリほどのキバチを見つけた(写真1)。キバチ類は毒針を持たず、幼虫は木に穿孔し木材を食べて育つ。見つけたのはカシノナガキクイムシに加害され衰弱したコナラの幹だ。産卵のために飛来したのだろう。早速、最近出版された「日本産ハバチ・キバチ図鑑」で調べてみると、クロヒラアシキバチのようだ。

木の幹に止まるクロヒラアシキバチ
  • 写真1
  • クロヒラアシキバチ Tremex apicalis(キバチ科)
  • コナラ Quercus serrata(ブナ科)
  • カシノナガキクイムシ Platypus quercivorus(ゾウムシ科)
  • 【引用文献】
  • 内藤親彦・篠原明彦・原 秀穂(2020):日本産ハバチ・キバチ類図鑑. 北海道大学出版会.
  • 【追記(2022年12月30日)】
  •  ここでクロヒラアシキバチとして報告した種は、Eriotremex makiharaiという別種であることが判明し、次の論文で生態写真と標本が利用されました。
    • Shinohara, A.(2022) The woodwasp genus Eriotremex (Hymenoptera: Siricidae) of Japan. Japanese Journal of Systematic Entomology, 28(2): 169-180.
  •  Eriotremex makiharai はこれまで石垣島、奄美大島、鹿児島県、京都府から知られていました。千葉県での発見は本種の最も東の分布記録です。

(斉藤明子)