2020/10/15(木)
哀れなキボシカミキリ
雨の九十九谷を歩いた。生きている姿のまま木の幹で真っ白に黴びて雨に打たれているキボシカミキリを見つけた(写真1)。ボーベリア菌という昆虫病原性糸状菌の一種に取り憑かれて、木に止まったまま死んでしまったのだ。
ボーベリア菌は、庭木や街路樹などの樹木を枯らすキボシカミキリやゴマダラカミキリなどのカミキリムシ類に対して強力な殺虫力があることから、微生物防除剤(生物農薬)として商品にもなっている。
それにしても、触角に破損も無く、しっかりと6本の脚を木の幹に付けたまま死んでいる。この様子を見ると、カミキリムシはひとたびこの菌に感染すると、短時間で死に至るに違いない。実際には無いことだが、ヒトにこのような状況が起きることを想像すると恐ろしい。

- 写真1
近くの畑でも、柵の中のイチジクに同じようなキボシカミキリを見つけた(写真2)。さらにそのすぐ近くで一匹生き延びていたのだが(写真3)、両者の距離は数十センチしかない。もしかして明日には体中にカビが・・・と心配になった。

- 写真2

- 写真3
- キボシカミキリ Psacothea hilaris(カミキリムシ科)
- ボーベリア菌 Beauveria sp.(バッカクキン科)
- ゴマダラカミキリ Anoplophora malasiaca(カミキリムシ科)
- イチジク Ficus carica(クワ科)
(斉藤明子)