教室博日記 No.1878

 2020/10/22(木)

 ヨコヅナサシガメ

 清澄山系にて。木の幹にヨコヅナサシガメの幼虫がいた(写真1)。体長12ミリほど。ヨコヅナサシガメは幼虫も成虫もほぼ全身黒いカメムシだが、脱皮直後にはこのような鮮やかな赤色をしている。

  • 写真1 真っ赤なヨコヅナサシガメ幼虫

 赤い幼虫の周囲には黒い糸くずのようなものがたくさんある(写真2)。よく見るとそれらはすべてヨ脱皮後の脱け殻である。脱け殻は100以上ある。どうやらこの真っ赤な1匹は仲間のうちで最後に脱皮したもののようだ。

  • 写真2 ヨコヅナサシガメ幼虫のたくさんの脱皮殻

 付近のちょっとしたくぼみに黒くなった幼虫が6匹見つかった(写真3)。まだ赤味の残っているものもいるが、少し先に脱皮した幼虫たちはここに身を隠しているようだ。どう考えても真っ赤な身体では天敵に狙われやすいと思うのだが、脱皮直後の弱々しい幼虫がどうしてこんなに目立つ色彩になるのだろうか。

  • 写真3 くぼみに潜むヨコヅナサシガメ幼虫
  • ヨコヅナサシガメ Agriosphodrus dohrni(サシガメ科)

(尾崎煙雄)