教室博日記 No.1905

 2020/12/23(水)

 越冬中の昆虫その2—崖編—

 元清澄山系沢沿いの続編。沢沿いの崖(写真1)を崩してみると、オサムシが一匹、ころっと落ちてきた。アワカズサオサムシだ(写真2)。これはルイスオサムシの房総南部固有亜種で、亜種名は「awakazusanus」、とても房総らしい学名で気に入っている。

崩した沢沿いの崖
  • 写真1
土の中から出てきたアワカズサオサムシ
  • 写真2

 もうひとつ、クロヒゲアオゴミムシが落ちてきた。このゴミムシはこの夏、房総丘陵の渓流沿いで素早く歩いているのをよく見かけた。この日はさすがに動きが鈍かったが、それでもすぐに歩き出し、何とか撮れたのが写真3である。

土の中から出てきたクロヒゲアオゴミムシ
  • 写真3

 別の崖を崩したら、セミの幼虫が出てきてしまった(写真4、5)。ミンミンゼミの幼虫のようだ。セミの幼虫は成虫になるまで数年の間(ミンミンゼミは2〜4年と考えられている)、土の中で木の根から汁を吸って育つ。暗い土の中では不要なはずの目が、成虫と同じように大きくて真っ白なのが印象的だった。寒い冬に、土の中からあらわにしてしまってとても申し訳ない気がした。

土の中のミンミンゼミ幼虫
  • 写真4
土の中のミンミンゼミ幼虫
  • 写真5

 冬でもある程度湿り気のある沢沿いは、昆虫の越冬場所として適しているようだ。

  • アワカズサオサムシ(ルイスオサムシ房総半島南部亜種) Carabus lewisianus awakazusanus (オサムシ科)
  • クロヒゲアオゴミムシ Chlaenius ocreatus(オサムシ科)
  • ミンミンゼミ Hyalessa maculaticollis(セミ科)

(斉藤明子)