教室博日記 No.1916

 2021/02/24(水)

 名水の里 久留里

 昔から名水の里として有名な久留里。駅前には、「水くみ広場」があり(写真1、2)、いつも水が溢れている。

駅前の「水くみ広場」
  • 写真1 
駅前の「水くみ広場」
  • 写真2 

 また久留里駅前から山側に向かって広がる久留里市場の道路沿いには、いくつもの井戸があり、水を提供している(写真3~5)。

道路沿いの井戸
  • 写真3
道路沿いの井戸
  • 写真4
道路沿いの井戸
  • 写真5

 周辺は小櫃川中流の河岸段丘分布域で、完新世の新しい段丘面(久留里面)が何段も見られる(図1)。久留里市場は、小櫃川支流沿いに扇形に広がる段丘面(久留里Ⅲ面)上にあり、本流に向かってわずかに傾いている(写真6)。

  • 図1 青で囲まれたところが久留里市場(1987年撮影の航空斜め写真を基に作成)
  • 写真6 久留里の街が広がる河岸段丘面 本流(右側)に向かって少し傾いている

 しかし久留里の水は、このような地表面の流水に由来したものではない。井戸は上総掘りで、沖積層の下の上総層群の地層(柿の木台層?)中の地下水が自噴している。100メートル以上の深さの水に由来したものである。これらの地層は、少し上流にある久留里城址の丘陵部に露出している。道沿いに見られるシルト層は、水を含んでいつもしっとりしている(写真7)。

    • 写真7 久留里城址の丘陵部に露出するシルト層

    (八木令子)