教室博日記 No.1919

 2021/02/26(金)

 スギナ(つくし)

 木更津市内にて。農道の道端につくしが顔を出していた(写真1)。ご存じの方も多いと思うが、つくしはスギナという植物の胞子茎だ。スギナはシダ植物の仲間で、手強い雑草として知られる。緑色をしていて光合成を担当する茎が「スギナ」で、胞子を生産して繁殖を担当する茎を「つくし」と呼んでいる。カタカナとひらがなの使い分けは、生物の種名はカタカナで表記するという慣習にのっとり、種名である「スギナ」はカタカナ、種名ではない「つくし」はひらがな表記としているから。

  • 写真1 顔を出したつくし

 つくしの先端部は細長くふくらんでいて、六角形のタイルが敷き詰められているように見える。このタイルのようなものを「胞子嚢床(ほうしのうしょう)といい、その内側に胞子を収めた「胞子嚢(ほうしのう)」という袋が数個ついている。写真2では淡褐色の胞子嚢床の下に白い胞子嚢がフリルのように並んでいるのが見える。この胞子嚢はすでに胞子を放出した後なので白く見える。

  • 写真2 つくしの先端部の拡大写真

 胞子嚢床や胞子嚢の下にもやもやしているのが胞子の集まりだ(写真3)。スギナの胞子は葉緑素を持ち、光合成能力があるということを同僚のシダ研究者から教わった。そのためスギナの胞子は緑色に見える。

  • 写真3 緑色のスギナの胞子
  • スギナ Equisetum arvense f. campestre(トクサ科)

(尾崎煙雄)