教室博日記 No.1930

 2021/03/18(水)

 フクロウの卵

 君津の山中にて。丘陵地の斜面で、コナラの幹に大きな樹洞(木にできた“うろ”)を見つけた(写真1、2)。

大きな樹洞のある木
  • 写真1
大きな樹洞のある木の近影
  • 写真2

 ちょうど胸の高さにあった樹洞を覗くと、なんとフクロウが居た。人面のような顔がこちらに向いて、大きな丸い目と目が合った。私も驚いたが、向こうも驚いたのだろう、一瞬で飛び立ち、私の横を飛んで林の中に姿を消してしまった。もう一度、樹洞の中を覗くと、直径は5センチほどだろうか、ほとんど丸に近い卵が2個あった(写真3)。ここで抱卵していたのだ。

樹洞の中にあったフクロウの卵
  • 写真3

 この場所は人里に近いが、急斜面の森なのでめったに人が近寄ることはなさそうである。フクロウにとって充分な広さのこの樹洞は、おそらく毎年子育ての場所として使われているに違いない。安心して抱卵しているところを驚かせてしまい、申し訳なかった。早く親が戻ってきて卵を温められるように、卵の写真を撮らせてもらってすぐにその場を離れた。

 フクロウが営巣できるような大きな樹洞は、大木でなければ形成されない。人里の中に残されたこの小さな森が、いつまでも残って欲しい。

  • コナラ Quercus serrata(ブナ科)
  • フクロウ Strix uralensis(フクロウ科)

(斉藤明子)