教室博日記 No.1950

 2021/04/22(木)

 ホソフタホシメダカハネカクシ

 木更津の谷津田にて。谷津田の最奥部の湿った砂地の上を、たくさんのハネカクシが走っていた。この甲虫は、体長4.5ミリほどのハネカクシ科メダカハネカクシ亜科に属するホソフタホシメダカハネカクシだ。どの個体もなぜか大急ぎで走っている。時々立ち止まるが、すぐに走り出すのでなかなか写真が撮れない。やっとのことでなんとか姿が判るような写真が撮れた(写真1)。

砂地を走るホソフタホシメダカハネカクシ
  • 写真1

 ハネカクシ類は日本産だけでも2000種以上が知られる、甲虫の中で最大のグループだ。ほとんどの種で鞘翅(前翅)が腹部よりずっと短く、後翅(飛ぶための翅)はこの短い鞘翅の下に畳まれているので“ハネカクシ”と呼ばれる。ハネカクシの中でも、メダカハネカクシ属は日本になんと約250種も知られる大きな分類群で、どれもよく似ていて種を同定するのは難しい。

 この属の種は体が真っ黒なものが多い中で、珍しくこの種には翅に小さな紋がある(写真2)。メダカハネカクシの名にあるように、目がとても大きい。この大きな目で、トビムシなどの餌を探して地面を走っているのだろうか。

  • 写真2 ホソフタホシメダカハネカクシ(標本番号CBM-ZI 183530)
  • ホソフタホシメダカハネカクシ Stenus alienus(ハネカクシ科)

(斉藤明子)