教室博日記 No.1952

 2021/04/24(土)

 田んぼマイスター2021 苗代作りと種籾の選定・水浸け芽出し

 君津市市宿の田んぼで行われている昔ながらのお米づくり体験、「田んぼマイスター 2021」が今年も始まった(写真1)。4月から10月まで、昔の方法でお米作りを体験するワークショップだ。毎年のように参加している家族もいれば、10年ぶりにお孫さんを連れて参加する人、初めて体験する人もいる。

  • 写真1 田んぼマイスターが行われる君津市市宿の風景 砂取り場の様子が毎年変化する

 参加者の自己紹介が終わった後、6月上旬の田植えを目指して、まず苗代作りを行う。レンゲソウが一面に咲いている場所の一角に水が張ってあり(写真2)、その中の土を盛り上げ、ペタペタたたきながら、最後に形を整えていく(写真3、4、5)。水の中に足を入れるには少し寒いかなと思ったが、子ども達は構わずにどんどん入っていき、少し年上の男の子達の先導でダイナミックに作業が進んだ。伝統的な農法では、稲の苗を育てるための苗代作りも田んぼ作業であり、継承していく技術のひとつなのである。

  • 写真2 レンゲソウ畑の向こう側で苗代作りの説明を聞く
  • 写真3 まずは田んぼの土を盛り上げていく
  • 写真4 次にペタペタたたく
  • 写真5 最後に形を整える

 苗代作りが終わると、次は場所を移して、良い種籾の選定だ。昨秋残しておいた種籾を塩水につけると、実の入っていない軽い種籾は浮き上がってくるので、それを取り除いて、下に沈んだ種籾だけを使うというものだ。なぜ塩水にするかというと、水より比重が大きいからだが、どのくらいの濃さにするかについては、生卵が浮くぐらいが適当なのだそうだ。

 ということで、生卵が浮く食塩水を作るところから始まった。まずたらいの水の中に生卵を入れると、沈んでしまった(写真6)。そこで塩の重さをはかりで測定し(写真7)、1kgずつ水の中に入れてかき混ぜていく。3kgくらい入れてかき混ぜたところに生卵を入れると、今度は浮き上がった(写真8)。

  • 写真6 水だけだと生卵は沈む
  • 写真7 塩の量をはかりで量る
  • 写真8 ある程度の濃さの食塩水にしたら生卵が浮いた

 そこで今度は網に入れた種籾をこの食塩水に浸すと、かなりの分量が浮き上がった(写真9)。それをザルですくい取り、下に沈んだままの種籾だけを残した(写真10)。まるで理科の実験のようで子ども達も熱心に取り組んでいた。そして最後は、選別した種籾を冷たい水に浸した(写真11)。水分を吸収することで、呼吸が盛んになり、発芽が促進されるということだ。

  • 写真9 種籾を塩水につけると軽い籾は浮いてくる
  • 写真10 浮き上がった種籾をざるですくう
  • 写真11 選別した種籾を水に浸す

 なお種籾を水に浸したところには、もともとはクレソンが生えていた(写真12)。それをいただいて持ち帰り、サラダにして食べたところ、みずみずしく爽やかでとても美味しかった。そんなことも田んぼマイスターの楽しみのひとつである。

  • 写真12 水場に植わっていたクレソン みずみずしく美味しかった
  • (写真2~5、7~8は佐藤恭子氏撮影)

(八木令子)